ページコンテンツ
自賠責保険とは
「自賠責保険」=「自動車損害賠償責任保険」とは、交通事故による被害者を救済するため、加害者が負うべき経済的な負担を補てんすることにより、基本的な対人賠償を確保することを目的としており、原動機付自転車(原付)を含むすべての自動車に加入が義務付けられています。自賠責保険の保険証書は車検証と一緒に車に積んでいらっしゃることと思います。
自賠責保険の特徴
1.原動機付自転車を含むすべての自動車は、自動車損害賠償保障法に基づき、自賠責保険(共済)に入っていなければ運転することはできません。無保険運転は違法です。
2.自動車の運行で他人を死傷させた場合の人身事故による損害について支払われる保険(共済)で、物損事故は対象になりません。
3.被害者1名ごとに支払限度額が定められています。1つの事故で複数の被害者がいる場合でも、被害者の支払限度額が減らされることはありません。
4.被害者は、加害者の加入している損害保険会社(組合)に直接、保険金(共済金)を請求することができます。
5.当座の出費(治療費等)にあてるため、被害者に対する仮渡金制度があります。
6.交通事故の発生において、被害者に重大な過失があった場合にのみ減額されます。(被害者の過失が7割以上の場合、減額の対象になります。)
減額の割合
過失割合 | 後遺障害または死亡に係るもの | 傷害に係るもの |
7割未満 | 減額なし | 減額なし |
7割以上8割未満 | 2割減額 | 2割減額 |
8割以上9割未満 | 3割減額 | 2割減額 |
9割以上10割未満 | 5割減額 | 2割減額 |
自賠責保険に未加入で運転した場合、例え事故を起こさなくても、走行しただけで、法律によって罰せられます。
・1年以下の懲役または50万円以下の罰金
・免許停止処分(違反点数6点)
※車検時には、車検期間をカバーする保険期間の自賠責保険に加入する必要があります。
自賠法では被害者保護のために、被害者が賠償請求する際は、自動車の運行によって損害が発生したという事実のみを示せばよく、加害者の故意・過失については、立証する責任を負いません。
反対に加害者は、次の3点について立証しなければ、賠償責任をのがれることはできません。
- 自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと。
- 被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があったこと。
- 自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと。
また、被害者は、被害者に重大な過失がない限り減額されません。
「被害者保護の制度」だからです。
自賠責保険の補償内容
自賠責保険では、「支払基準」が法律に基づいて定められています。
「事故と相当因果関係のある損害」について、加害者に賠償請求できます。
大きく分けて「経済的な損害」「精神的な損害」があり、相当因果関係、というその基準は、治療などに必要であったかどうか、妥当な性質、金額のものであったかどうかなどで判断されます。
例えば、入院中の携帯テレビの購入費、お見舞いのお客さんへの接待費、お見舞いのお返しなどは認められません。
傷害による損害
支払限度額:被害者1名につき120万円
支払内容:治療関係費:治療費・通院費等・看護料・諸雑費・義肢等の費用・診断書等の費用、文書料、休業損害、慰謝料
後遺障害による損害
支払限度額:被害者1名につき4,000万円。等級別に定められています。
支払内容:身体に残った障害の程度に応じた等級によって、逸失利益及び慰謝料などが支払われます。
死亡による損害
支払内容:葬儀費、逸失利益、被害者本人の慰謝料及び遺族の慰謝料
自賠責保険の支払額の決定方法
では、具体的に、自賠責保険の支払額は、どうやって決定されるのでしょうか。
損害保険料率算出機構という機関があり、そこの自賠責損害調査事務所による調査に基づき、損害保険会社が支払額を決定します。
損害保険料率算出機構とは、「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づき、設立された法人で、その事業の一環として全国に地区本部、自賠責損害調査事務所を設置し、自賠責保険(共済)の損害調査を行っています。
自賠責保険では、多数の請求を迅速かつ公正に処理するため、各損害保険会社の窓口で受け付けられた請求は損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が調査を行います。その結果に基づいて最終的に各損害保険会社が支払額を決定の上、支払います。
つまり、保険会社は窓口でありお金の出どころであり、結果については、保険会社による差はない、ということです。
請求から支払額決定、請求者への支払いまでの流れ
自賠責保険への請求方法 および期限
請求方法
加害者請求
加害者が被害者に損害賠償金を支払った後、加害者が自賠責の損害保険会社に保険金を請求します。
多くの場合は、加害者加入の任意保険会社が動いているので、その任意保険会社が、自賠責保険会社へ請求します。「任意一括請求」「事前認定」とも呼ばれます。
被害者請求
被害者が、加害者加入の自賠責保険会社に、直接請求します。
請求期限
加害者請求 被害者に賠償金を支払ってから3年で時効。
被害者請求 交通事故が起こってから3年、死亡の場合は死亡してから3年、
後遺障害の場合は症状固定から3年で時効。
何らかの理由で請求が遅れてしまう場合は、時効中断の手続きが必要です。(平成22年3月31日以前の事故の場合は2年です。)
(政府保障事業には時効中断制度がありません。)
必要書類リスト
提出書類 | 発行者
(作成者) |
損害の種類 | |||||
被害者請求の場合 | |||||||
仮渡金 | |||||||
死亡
|
後遺障害 |
傷害
|
死亡
|
傷害
|
|||
① | 保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |
② | 交通事故証明書(人身事故) | 自動車安全運転センター | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
③ | 事故発生状況報告書 | 事故当時者
事故状況に詳しい人 |
◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
④ | 医師の診断書または死体検案書(死亡診断書) | 治療を受けた医師・病院 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
⑤ | 診療報酬明細書 | 治療を受けた医師・病院 | ◎ | ○ | ◎ | ||
⑥ | 通院交通費明細書 | ◎ | ◎ | ||||
⑦ | 付添看護自認書または看護料領収書 | ○ | ○ | ||||
⑧ | 休業損害の証明は
(1)給与所得者 事業主の休業損害証明書(源泉徴収票添付) (2)自由業者、自営業者、農林漁業者 納税証明書、課税証明書(所得額記載されたものまたは確定申告書(控)等 |
事業主
(休業損害証明書)
税務署または市区町村 (納税証明書、 課税証明書等) |
○ | ○ | ○ | ||
⑨ | 損害賠償額の受領者が請求者本人であることの証明(印鑑証明)
被害者が未成年者で、その親権者が請求する場合は、当該未成年者の住民票または戸籍謄本も必要。 |
住民登録をしている
市区町村、 本籍のある市区町村 |
◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
⑩ | 委任状および委任者の印鑑証明
(第三者に委任する場合) |
印監登録をしている
市区町村 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
⑪ | 戸籍謄本 | 本籍のある市区町村 | ◎ | ◎ | |||
⑫ | 後遺障害診断書 | 治療を受けた医師・病院 | ◎ | ||||
⑬ | レントゲン写真等 | 治療を受けた医師・病院 | ○ | ○ | ○ |
*◎が必須書類。