後遺障害等級表

後遺障害等級表には、別表1と別表2があります。
別表1には、介護を要する後遺障害に対する等級、1級・2級があります。
別表2には、第1級から14級までが規定されており、それぞれの等級には、その後遺障害がさらに細かく規定されています。
また、自賠責保険においては、等級に応じて定額の保険金額も決められています。

後遺障害は、このように等級によって細かく決められているのですが、その割に、表現が曖昧な点も悩ましい点ではあります。
また、ご自身の残存症状が後遺障害等級表に挙げられている中に当てはまらなければ後遺障害等級認定されないとお考えください。
(ケースによっては、「○○級相当」となる場合もありますが、基本的には挙げられている後遺障害に当てはまることに対しての認定となります。)

「骨折」後の動かしづらさについて後遺障害認定が難しい理由

極端なたとえ話になりますが、交通事故によって、肋骨が10本折れてしまった方がいらしたとして、治療によって10本全て、癒合不全もなく(きれいに)くっついた場合、後遺障害には当たりません。
骨が折れた。そのことについて、どの級にも規定はありませんので、変な言い方になりますが、どれだけ骨を折られても、自賠責保険における後遺障害、にはなりません。
交通事故により受傷し、それから治療をしっかり続けたけれども残ってしまった症状。症状が固定して今後も変わらず良くも悪くもならず回復を見込むことができない残存症状。
それが交通事故における後遺障害になります。
事故によって骨折され、事故直後に手術、長い期間の入院となり、被害者の方はそれだけ辛く不自由な生活を強いられたと思うのですが、きれいに、変形も残らず骨がくっついた(癒合した)場合、(それはご本人にとっては良いことなのですが)まず、自賠責保険において後遺障害が認められることはありません。
多くの場合、癒合を促すために、動かさないようにされていると思いますので、癒合後もその部分が動かしにくくなることがあります。
それを無理に動かそうとすると痛みが出るため、被害者の方は、「大きな手術をし、長い期間入院していて、今動かすと痛くて動かせない。となると、後遺障害が認められないわけがない。」と考えておられることが多いのですが、骨がきれいにくっつけば、その事故による怪我については、治癒、つまり治っている。
動かないのは長い期間動かしていなかったからで、事故による怪我、症状、そのものが残っている訳ではない、と審査においては考えられるようです。今後リハビリ等で動かすようにしていけば、痛みも可動域(動かすことのできる範囲)制限についても改善されるであろう、ということになります。
もちろん、動かしづらさ(可動域制限)が残っている場合で、受傷時の様態や手術を含む治療状況、経過、その他その原因についていろいろ検証をすることで異なってきますので、「骨折」後の可動域制限は絶対には認められない、ということではありません。
また、きれいに癒合せず、変形していることが目で見ても確認できるようであれば、話は違ってきます。

後遺障害等級表

自動車損害賠償補償法施行令 別表1

等級 介護を要する後遺障害 保険金額
第1級
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
4,000万円
第2級
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3,000万円

自動車損害賠償補償法施行令 別表2

等級 後遺障害 保険金額
第1級
  1. 両目が失明したもの
  2. 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
  3. 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
  4. 両上肢の用を全廃したもの
  5. 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
  6. 両下肢の用を全廃したもの
3,000万円
第2級
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
  2. 両眼の視力が0.02以下になったもの。
  3. 両上肢を手関節以上で失ったもの
  4. 両下肢を足関節以上で失ったもの
2,590万円
第3級
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
  2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  5. 両手の手指の全部を失ったもの
2,219万円
第4級
  1. 両眼の視力が0.06以下になったもの
  2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力を全く失ったもの※両耳の平均純音聴力レベルが90db以上のもの、又は両耳の平均純音聴力レベルが80db以上であり、且つ最高明瞭度が30%以下のもの。
  4. 1上肢をひじ関節以上で失ったもの
  5. 1下肢をひざ関節以上で失ったもの
  6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
  7. 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
1,889万円
第5級
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  4. 1上肢を手関節以上で失ったもの
  5. 1下肢を足関節以上で失ったもの
  6. 1上肢の用の全廃したもの
  7. 1下肢の用を全廃したもの
  8. 両足の足指の全部を失ったもの※中足指節関節以上を失ったもの。
1,574万円
第6級
  1. 両眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
  4. 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  5. 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  6. 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
  7. 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
  8. 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの
1,296万円
第7級
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
  2. 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  3. 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
  4. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  6. 1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの
  7. 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの
  8. 1足をリスフラン関節以上で失ったもの
  9. 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  10. 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
  12. 外貌に著しい醜状を残すもの
  13. 両側の睾丸を失ったもの
1,051万円
第8級
  1. 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの
  2. 脊柱に運動障害を残すもの
  3. 1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの
  4. 1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
  5. 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
  6. 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  7. 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  8. 1上肢に偽関節を残すもの
  9. 1下肢に偽関節を残すもの
  10. 1足の足指の全部を失ったもの
819万円
第9級
  1. 両眼の視力が0.6以下になったもの
  2. 1眼の視力が0.06以下になったもの
  3. 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  6. 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
  7. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  8. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの
  9. 1耳の聴力を全く失ったもの
  10. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  12. 1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの
  13. 1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
  14. 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
  15. 1足の足指の全部の用を廃したもの
  16. 外貌に相当程度の醜状を残すもの
  17. 生殖器に著しい障害を残すもの
616万円
第10級
  1. 眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの※外眼筋の麻痺等により物が二重に見える状態です。
  3. 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
  4. 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの
  6. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
  7. 1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの
  8. 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
  9. 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
  10. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
  11. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
461万円
第11級
  1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  4. 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
  6. 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
  7. 脊柱に変形を残すもの
  8. 1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
  9. 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
  10. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
331万円
第12級
  1. 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  4. 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
  5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
  6. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  7. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  8. 長管骨に変形を残すもの
  9. 1手のこ指を失ったもの
  10. 1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
  11. 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
  12. 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
  13. 局部に頑固な神経症状を残すもの
  14. 外貌に醜状を残すもの
224万円
第13級
  1. 1眼の視力が0.6以下になったもの
  2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  5. 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  6. 1手のこ指の用を廃したもの
  7. 1手のおや指の指骨の一部を失ったもの
  8. 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
  9. 1足の第3の足指以外の1又は2の足指を失ったもの
  10. 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
139万円
第14級
  1. 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  2. 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  3. 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
  4. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  5. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  6. 1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
  7. 1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
  8. 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
  9. 局部に神経症状を残すもの
75万円

(注1)後遺障害が2つ以上あるときは、重い方の後遺障害の該当する等級による。しかし、下記に掲げる場合においては等級を次の通り繰上げる

  1. 第13級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重い方の後遺障害の等級を1級繰上げる。ただし、それぞれの後遺障害に該当する保険金額の合算額が繰上げ後の後遺障害の保険金額を下回るときはその合算額を保険金額として採用する。
  2. 第8級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重い方の後遺障害の等級を2級繰上げる。
  3. 第5級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重い方の後遺障害の等級を3級繰上げる。

(注2)既に後遺障害のある者がさらに同一部位について後遺障害の程度を加重したときは、加重後の等級に応ずる保険金額から既にあった後遺障害の等級に応ずる保険金額を控除した金額を保険金額とする。

*(注1)に規定されている「併合」について
後遺障害等級の認定基準では、体を部位別に分類し、その分類された部位に中で機能別に更に分類されています。
後遺障害が2つ以上あるときは、「併合」などを行って最終的に1つの等級に評価されることになりますが、その判断はそれぞれの障害がどの「系列」に属するかによって変わってきます。

「併合」は、2つ以上の系列の異なる後遺障害の中で、重い方の等級を繰り上げることが基本になっています。

「併合」は、

併合の基本ルール

  • 13級以上が2つ以上 → 重い方の等級を1級繰り上げる。
  • 8級以上が2つ以上 → 重い方の等級を2級繰り上げる。
  • 5級以上が2つ以上 → 重い方の等級を3級繰り上げる。
  • 14級が2つ以上 → 14級(繰り上げはない)
  • その他 → 重い方の等級(繰り上げはない)5級以上が2つ以上:重い方の等級を3級繰り上げる
    ただ、上記はあくまで原則であり例外のケースも多くあります。

なお、別表第一(介護を要する後遺障害)の後遺障害については、併合は行われません。

*(注2)に規定されている「加重」について
事故により受傷される以前から後遺障害のあった方が、交通事故により同一部位にさらに傷害を負い、後遺障害の程度が重くなることを「加重障害」といいます。
この場合、事故の前からの既にあった後遺障害は、生来のものか他の交通事故が原因のものかなどは関係ありません。
加重後の後遺障害の保険金額から既存の後遺障害の保険金額を控除した額(差し引きした額)を限度として保険金が支払われます。

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