- 症状 事故後、疲れやすくいつも横になり、また、同じことを何度も聞いたり、理由がわからないことで怒ったりしますし、自分では衣服の着替えも1人でお風呂に入ることもできなくなりました。等級併合4級
- 初回申請
- 沖縄県
- 80代
- 男性
ご依頼の経緯
事故で頭部外傷し、高次脳機能障害と思われる症状があるのですが、高齢のため「認知の進行」と医師に言われていました。
80代沖縄在住男性Tさんのご家族のお話。
自家用車で一般道路を走行中、対向車線を走っていた車の運転手が居眠りし、中央分離帯を越え正面衝突、右上腕骨骨折および頭部を受傷しました。
CTで急性硬膜下血腫を確認され、意識障害もありました。
事故前は、独居で、一人で全ての家事をこなし、畑仕事もして、自分で車を運転し買い物や病院にも行っていました。
事故後、疲れやすくいつも横になり、また、同じことを何度も聞いたり、理由がわからないことで怒ったりしますし、自分では衣服の着替えも1人でお風呂に入ることもできなくなりました。
しかし、医師には認知が進んだだけと言われ、整形外科のみ受診していました。
加害者加入任意保険会社からは何の連絡もありませんが、こちらから何かアクションを起こして良いのかどうかもわかりません。
親戚が以前交通事故に遭った時、こちらに相談したことがあったので、その親戚の勧めで相談しました。
経過と解決
沖縄で面談後受任しました。
右上腕骨・頸部・頭部共MRIを撮っていないので、主治医にMRIを撮ってもらうようお伝えくださいと提案しました。
医師はMRIを撮ることに難色を示されご家族も戸惑っておられたので、主治医との関係は良好に保つのが得策だとの考えから、この病院でのMRI撮影のメリット・デメリットをお伝えしました。
また、頭部受傷後の性格等の変化をご家族が強く感じておられるので、高次脳機能障害の可能性があることをお伝えし、精査されることを提案、神経心理学的検査を施行してもらいました。神経心理学的検査の結果、異常を確認できましたが、年齢による認知の進行を否定できないので後遺障害診断書は書けないと医師に言われました。後遺障害診断書を記載していただける医師をご紹介できるかもしれないとお伝えしましたが、ご家族は「もう疲れました。」と言われ、頸椎捻挫・右上腕骨骨折のみで後遺障害等級申請しました。
申請後、損害保険料率算出機構より「頭部外傷と記載があるが、頭部外傷による高次脳機能障害の申請はしないのか。」と問合せがあり、ご家族に左記を伝えました。
「後遺障害診断書を記載していただけないので、今回は高次脳機能障害の申請はしない、」と言われたので、そのように回答しました。
数週間後、「硬膜下血腫を確認されているのに、本当に申請しないのか。」と、再度問い合わせがあり、再度ご家族に確認し、同じ回答をしました。
損害保険料率算出機構は「後遺障害診断書等以外の書類の提出だけで良いので、高次脳機能障害の申請をしてください、」と言われたので、後遺障害診断書等以外の書類を作成し、高次脳機能障害に関しても後遺障害等級申請し、結果、高次脳機能障害で5級2号、左肩関節の機能障害で10級10号、併合4級が認定されました。
ご家族は『あれだけ元気だったものがこんなに変わったのに「認知の進行」と言い続けられ非常に悔しく悲しい思いしていました。後遺症であることが認められ、ホッとしました。』と感謝してくださいました。
交通事故・後遺障害サポートセンターより
高齢者が交通事故により頭部外傷後大きな変化があっても、認知の進行であると言われることが多くあります。
ご家族がどれだけ「事故前は違ったのですが。」といわれても、見た目に変化が無いことや年齢から認知の進行と言われ、ご家族も疲弊されるようです。
高次脳機能障害の特徴の一つに「事故前と見た目がかわらない。」というのがあります。
見た目に変化がないのに、その場にそぐわない態度をとったり、喜怒哀楽が激しくなったりすることから、変な人と思われ辛い思いをされる方が多くおられます。
また、Tさんのように認知が進行しただけと言われる方も多くおられます。
弊法人が交通事故による高次脳機能障害の方のサポートをさせていただいた当初(10年程前)は高次脳機能障害という傷病名は一般的に認知されていませんでした。
ここ数年、メディアやドラマで取り上げられるようになり、傷病名は聞いたことがあるという方が増えてきたようですが、高次脳機能障害になられた方に実際お会いになられた方や、どういう症状なのかをご存知の方はまだまだごくわずかです。
弊法人の長年の実績から、高次脳機能障害になられた方やそのご家族に寄り添ったサポートができるよう心掛けています。